SIGCOMM2015: Large-scale Measurements of Wireless Network Behavior を読む

概要

リンク: http://conferences.sigcomm.org/sigcomm/2015/pdf/papers/p153.pdf

  • SIGCOMM ‘15で発表された論文。Cisco Merakiの人たちが著者。
  • Merakiはいわゆるクラウド型無線LANコントローラとAPのセットのサービス。
  • 自社のサービスを展開している中で収集されたデータのオーバービュー的な文章。

読んだモチベーション

  • Wireless Network という題に惹かれて
  • お仕事で似た様なことやってるため

内容

落合先生フォーマットに従って並べてみる

どんなもの?

  • Merakiのサービスを提供するに当たって収集したデータの分析を行った
    • 2万台のMeraki AP, 2万個のネットワーク, 5百万クライアント/week の規模
    • これらのネットワークにぶら下がる数百万のデバイスの様々な情報が自社のDBに溜まっている
      • ネットワークに所属するデバイスたち: AP, クライアント端末(ノートPC, スマホ e.t.c), スイッチ, ルータ など
      • 情報: 接続断のイベント, 通信先 など
      • Meraki(のサービス側)は, いわゆる無線LANコントローラなのでこれらの情報を常にpolling/収集している
  • これだけ規模が大きく, 期間も長いと”無線LANネットワークのトレンド”的なものが見えてくる
    • 電波的な傾向
      • 他のAP or 802.11以外の干渉
    • 規格上の傾向
      • 2.4 or 5GHz帯への偏り
      • 802.11g, a, n, acの偏り(利用率の変化)
      • チャネル幅の遷移
      • ストリーム数の遷移
    • クライアントの傾向
      • OSのバリエーション
      • 信号強度
    • ネットワークの傾向
      • いわゆる普通のトラフィック分析
      • アプリケーション利用率

先行研究と比べて何がすごい?何が違う?

  • まず数
    • Gemberら(当該研究者が所属する大学ネットワークや施設のネットワークが対象)、Rodrigら(カンファレンスネットワークが対象)等、干渉の計測やネットワークトラフィックの分析を行った研究は存在する。この論文では、さらに大規模なユーザベースでの分析を行っている。
    • Hotspotを対象にそこそこの規模で行った例としては Ghoshら(243000デバイス)、Google (500AP, 30000クライアント)等があるがこれらはあくまでHotspot向けであり、この論文(およびMerakiのサービス)が対象としているオフィス/キャンパスユースではない
  • 計測期間の長さ (とそこから来るデータ量)
    • おもに他の研究ではショットないし1年内程度のスパンで行ったものが主
      • 短いスパンであれば、個々の技術・計測に関する分析を行った既存研究は多種存在する
      • 干渉の定性的分析や規格の技術的妥当性の検証という観点で
    • この論文では5年程度のスパンで見ている
      • “トレンド”という点に着目できる内容になっている
      • さらに取得した、サービスの継続にあたって重要な無線LANインフラ(!=無線LAN only)の情報を分析対象としている

技術の手法とかキモはどこ?

  • サービスのプロダクション環境に当該情報収集系を組み込んだところ
    • いわゆる”実用”の場でのデータが取れる
    • お客さんのバリエーション == “実用”の度合い に直結する
  • 観点として「サービスの継続性」のための情報収集に特化しているところ
    • 個々の規格・技術の妥当性検証というよりは、その現れ方・利用され方の観測が主

どうやって有効だと検証した?

  • Evaluationとして有効性を示す文章はない
  • 強いて言えば実環境でこんな感じのデータが取れたぜ!という報告に近い?

議論はある?

  • (TBD)

次に読むべき論文は?

  • GamberらのとGoogleのやつ?
      1. Gember, A. Anand, and A. Akella. A comparative study of handheld and non-handheld traffic in campus wi-fi networks.
      1. Afanasyev, T. Chen, G. M. Voelker, and A. C. Snoeren. Usage patterns in an urban wifi network
  • Senらの”Cspy: finding the best quality channel without probing”も気になる
      1. Sen, B. Radunovic, J. Lee, and K.-H. Kim. Cspy: finding the best quality channel without probing.

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