2018-08-06 論文100本ノック 4: Demystifing 802.11n Power Consumption

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  • 著者: Daniel Helperin
  • 所属: U of Washington, Intel Labs Seattle
  • 発行年: 2010
  • 学会: Usenix HotPower ‘10
  • どんなもの
    • 802.11n NIC (intel 5300)の電力消費量をさまざまな条件で測定
    • 電力消費をうまく抑える使い方を提案
    • これまでの経験則の検証、反証
  • 先行研究と比べてどこがすごい
    • 細かい条件(チャネル幅、送信出力、転送レート、アンテナチェイン、スリープ条件)に基づいて分析
    • 特に 802.11n MIMO 条件下というのはこれまでになかった設定
    • ガッと送ってズバッと眠るという 802.11 APSD(Automatic Power Save Delivery)やPSP(Power Save Polling)の有効なシナリオ、そうでないシナリオにも言及
    • 電力消費削減に対する疑問の解決
      • 送信出力削るとお得? NO
      • 眠るのはアイドリングよりお得? YES
      • 送る方が受け取る方より消費する? YES
      • チャネル幅広げると電力ガンガン消費する? NO
      • 早いレートでガッと送るのは電力効率いい? NO
      • 電力消費はMIMO のストリーム数に比例する? NO
  • 技術や手法のキモはどこ?
    • 実デバイスを使った測定 (Intel WiFi Link 5300)
    • 802.11n MIMO のストリーム数を考慮しつつ、転送レートなどの条件を変えながら測定
  • どうやって技術・手法の有効性を検証した?
    • スリープ状態
      • スリープするのはアイドリングよりお得
    • 転送レート
      • おなじアンテナ数なら、転送レートを変えても電力消費は変わらない
      • ただし早い転送レートだと DSP への負荷が上がる
        • 例として MIMO 3 40Mhz幅で405Mbps出す場合、40.5Mbpsの時に比べて120mWほど消費が大きくなる
    • チャネル幅
      • チャネル幅を広げても、その分の電力消費は微々たるもの
      • 転送レートが倍になるほどの影響はない
      • クロックが上がるのではなく、サブキャリアが増えるだけのため
    • 送信ストリーム数
      • 1 -> 2 に増やした時が一番電力消費が上がる(53%上昇)、一方で 2 -> 3 に増やした時は5%ぐらいしか上がらない
      • MIMO 2 にしたときは、MIMO 3 で使うようなハードウェア(RFコンポーネントその他)はほとんど有効になるためと考察
    • 受信アンテナ数
      • アンテナ数増えるごとに電力消費も増える
      • 1アンテナごとに330mWづつ。アンテナ数倍になるわけではない。
    • 受信ストリーム数
      • 上述の通りアンテナ数ごとに330mWの定額上昇
      • 一方で、空間ストリーム数を増やした時は10mW程度しか増えない
      • よって、アンテナ数減らす方がストリーム数の削減より重要
    • 送信出力
      • 送信出力抑えてもたかだか10%程度電力消費削減が関の山
    • racing to sleep
      • おなじアンテナ数、ストリーム数であれば受信・送信ともに速いレートでガッと送りつけてさくっと寝るというのはエネルギー効率として正しい
        • 802.11での Power Save系全般の戦略の有効性を確認
      • 一方で、ストリーム数間を比較するとSISOの方がエネルギー効率がよい
        • 一部MIMOでストリーム数が多い方が効率がよくなる箇所もある
        • ただし前述の箇所は over 250 Mbps な MCS indexで通信している領域
        • 空間がきれいだったりリンクの条件がよくないと使えなかったりする速度
        • よってリンクがある程度ゆらぐということを前提にするなら SISO にした方が電力効率がよいといえる
    • パケットオーバーヘッドについて
      • Watt/bitという観点だとオーバーヘッドの削減が電力効率に直結する
      • オーバーヘッドが発生する要因
        • OFDM シンボル埋めるパディング
          • OFDM シンボルはビット数ではなく時間(4us)に制約される。1シンボルで遅れる情報に不足する分はオーバーヘッドとなる
            • 例えば 10バイトのACKパケットは、エンコードやFCS含めると 134ビット
            • 一方、SISO 39Mbps (MCS 3, 16-QAM, ¾)であれば 1symbol 156ビット
              • 16-QAM はサブキャリアあたり 4bit x サブキャリア 52 個 x コーディングレート 3/ 4 = 156
            • よって156 - 134 = 22 bit分の無駄がある
            • MIMO3 だと1620bitにもなるためショートフレームだとフリ
        • プリアンブル
          • マルチストリームだとその分長くなる
            • MIMO2, MIMO3のプリアンブルはそれぞれ1 or 3 OFDMシンボルとなり、SISOのそれに比べると長い
            • 405Mbpsの場合は4860ビット分
      • オーバーヘッドの影響
        • 小パケットであればSISOが一番電力効率がよい
        • ただしSISOで最悪レートで転送しているようなリンク状態ならMIMOの方がよい
        • 空間ダイバーシチがいい感じに効いてエネルギー効率向上が望めるため
      • ラージパケットかつリンク状態が良いのであればMIMOは有効、そうでないならSISOの方が良い
  • 議論はある?
    • 電力効率で SISO > MIMO という話があったが、収容しなきゃいけないクライアント数/トラフィック量という観点で比較するとどうだろう?
      • トレードオフをクライアント収容(数とトラフィック)、電力消費という二軸にしてみたときに均衡点を提示できる指標
      • 大規模ネットw−悪環境にて、ユーザのスマホ・タブレットの電力消費を抑えたい vs 人数を収容するために上げたいというバランスに対する提言
    • MU-MIMO では SISO っぽい動作を事実上するようになったはず。これは上記での SISO > MIMO 方向の議論といい感じにマッチするのでは?
      • サウンディングやスケジューリングのオーバーヘッドを踏まえた上で評価できると面白そう
  • この中ででてきた次に読むべき論文リスト
    • 特になし
  • 所感
    • 802.11n の最大のMIMOで2.1Wひっぱり、3hでばってりーを消費しつくしユーザの手を焼くのに充分な熱をもつという…

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