2018-08-14 論文100本ノック 6: CSI-MIMO: Indoor Wi-Fi Fingerprinting System
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- 著者: Yogita Chapre et al
- 所属: School of Computer Science & Engineering, University of New South Wales
- 発行年: 2014
- 学会:IEEE Local Computer Networks Conference (LCN2014)
- どんなもの
- CSI-MIMOの提案
- Channel State Informationを使って精度の高い屋内測位を実現
- MIMOの情報を活かすのがキモ
- 先行研究と比べてどこがすごい
- RSSIベースはよくあるが精度が悪い
- RSSIを複数APから見地して k近傍法で分類し位置情報を測定する手法 [1][2]
- RSSIは平均電力としての値
- マルチパスの影響を受けやすい
- 環境(人、モノの動き)により容易に揺蕩う
- 2〜3m程度の精度
- Signal Streangth Difference(SSD)手法も環境の変化には弱い
- k近傍法は活用するが、RSSIといった集約値をターゲットにしないのが本手法
- CIR (Channel Implulse Response)は
- これをベースにした位置フィンガープリント手法
- 200MHzの帯域幅が見れるスペアナといった高価かつでかい機材が必要
- Artificial neural networkを使って測定するが、精度は帯域幅による
- 下記の通りコモディティハードウェアでもできるのが本手法
- CSI
- OFDMでは周波数ダイバーシチ・空間ダイバーシチを効かせているため、サブキャリアごとに異なるこれらによる変動を調整するための仕組みとしてCSIを用いる
- コモディティハードウェアである5300ではこれらを取り出すことが可能
- 平均電力に集約されてしまうRSSIと異なり、サブキャリアごとにチャネルの情報が取得できる
§ サブキャリアごとの波の振幅と位相が含まれる
§ マルチパスによりサブキャリアごとにことなる経路をたどりバラバラの値になる
- [8][9]でもCSIを使っていたが、そちらはSISOを想定していた
- MIMO
- 空間ダイバーシチを効かせて速度を上げているのが802.11n以降のMIMO
- これを活用して位置のフィンガープリンティングを行う
- [10]でも空間ダイバーシチを活用しているが電力を対象にしており、位置に紐付けようとはしていない。
- [8][10][9]では同じくCSIを活用していたが、MIMOという意味で複数のアンテナをうまく使うという技術的課題をクリアできていなかった
§ 空間・周波数ダイバーシチの双方を活用して位置情報に活かすのがこの研究のキモ
- 技術や手法のキモはどこ?
- CSI x MIMO の組み合わせ
- CSIの利用によりRSSIの弱点である精度を改善
- MIMOを考慮することで、空間・周波数ダイバーシチの双方を活用した、より精度の高いフィンガープリンティング
- トレーニングフェーズでこれらの情報により各地点のフィンガープリントを蓄積
- amplitude difference vectorとphase difference vectorがフィンガープリント
- 全サブキャリアについてCSI値を合算(虚数の合算)
- それぞれその絶対値をHavg-amp, 位相をHavg-phとしておく
- 各サブキャリアごとに隣のサブキャリアとのamp, phaseの差分をとり、Hampi, Hphiとする
- それらをサブキャリアすべてに渡って足し合わせたHamp-diff, Hph-diffをシグネチャとする
- ポジショニングフェーズにて、現地点のそれをk近傍法でトレーニングしたものと近似をとる or ベイズ推定で最もらしい位置を割り出す
- トレーニングサンプルとのユークリッド距離の算出→一推定
- 「このCSIフィンタープリントの時、あるロケーションである確率」のうち最大のロケーションとなりうる場所であると推定
§ (細かい式はよくわからん)
- どうやって技術・手法の有効性を検証した?
- ラボの室内(6 x 7.5m平方)の19地点で24時間トレーニング、APは2台
- FIFSや通常のCSIシグネチャ方式との比較
- 比較対象は振幅とフェーズ情報を合算してしまっている手法
- FIFSはCSI-MIMOと同じくkNN & ベイズ推定を用いている手法
- 不明な地点で1000サンプル集めて位置推定を実施、精度を比較した
- また、100, 1000, 10000トレーニングサンプルの場合や、100, 1000テストサンプルの場合に精度がどう変わるかも検証
- k近傍法をもちいた場合:
§ 1000トレーニング100テストで 0.95mの誤差(最小)
§ CSI-MIMOの法がだいたいの場合、FIFSやCSIに勝っていることを確認
- ベイズ推定を用いた場合:
§ 最も良い精度でも1000トレーニング100テストで1.02mと、k近傍法より悪い
- 全体的にはFIFS/シンプルCSIに比べて良い性能
- ただしFIFSが優位になる点もあり
- ベイズ推定を用いた10000 or 1000 サンプルの場合 (Fig6の左下)
- サンプル数が多くなると中央値や分散値の影響で良くなる場合がある?
- 平均距離の誤差比較(table 1)
- 最大でFIFSより57%(k近傍法), 26%(ベイズ推定)良い。1000トレーニング1000テストの場合。
- 1000トレーニング、100テストが一番成績がよい
- これが最適な計測時のパラメータ
- またほかの手法よりも優位にたっているパラメータでもある
- k近傍法とベイズ推定の比較
- CSI-MIMOではどちらでも同じくらいの性能が出せる (Fig7の左下はどうなの…)
- 全体的にはk近傍法の法がCSI-MIMO(およびシンプルCSI)においては良い値を出す
§ 一方でFIFSはベイズの方が良いらしい
- k近傍法においては、CSI-MIMOのサブキャリアごとの計算という前提が活きる
§ 一方で誤差をうまく丸めているベイズ推定においては、FIFSのほうが使える場合がある?
- 議論はある?
- トレーニングにどれくらいの時間が最低限いるのか? => 1000トレーニング程度でよいらしい
- 環境変動への耐性評価が入ってない気がする
- 人の動きやモノの移動があった場合にどうなるのか知りたい
- この中ででてきた次に読むべき論文リスト
- [10] J. Xiao, K. Wu, Y. Yi, and L. Ni, “FIFS: Fine-grained indoor fin- gerprinting system,” in 21st International Conference on Computer Communications and Networks (ICCCN), 2012, pp. 1–7.
- FIFSの論文
- アルゴリズム(ベイズ推定)によってはこちらの法が良くなる場合があったため
- 計算手法がシンプルならむしろあり
- [8] K. Wu, J. Xiao, Y. Yi, D. Chen, X. Luo, and L. Ni, “CSI-based indoor localization,” IEEE Transactions on Parallel and Distributed Systems, vol. 24, no. 7, pp. 1300–1309, 2013.
- [9] S. Sen, R. R. Choudhury, B. Radunovic, and T. Minka, “Precise indoor localization using PHY layer information,” in Proceedings of the 10th ACM Workshop on Hot Topics in Networks, ser. HotNets-X. New York, NY, USA: ACM, 2011, pp. 18:1–18:6. [Online]. Available: http://doi.acm.org/10.1145/2070562.2070580
- 所感
- 事前トレーニングが必要なタイプなので個人的な興味とはちょっとずれてる予感
- 前のMUSICアルゴリズム使ってモノのほうが個人的な目的には合致していそう
- FIFSの方が優れている場合がある理由の掘り下げがちょっと足りてない?理解が足りてないだけな気もするが…